たとえばアナタと恋をして
「こんにちは」


思わず声が出そうになって、手元のファイルがバサバサと下に落ちる。


「……?ごめんごめん。びっくりした?」


気がつくと目の前には晃が来ていて。


「うん、大丈夫!ごめん、大丈夫です!」


慌ててファイルをかき集める。


こんな時に限って林さんがいない。


ファイルは、受付カウンターの外側にも落ちてしまい、慌てて取りに行く。


余りに慌てて出たので、ファイルを拾おうと屈んだ晃とぶつかりそうになる。


不意に近付いたせいで、晃の香りがふわんとして、あたしは余計に慌ててしまう。


バタバタして、バカみたい!!


なるべく晃の方を見ないように四つん這いになって拾い集め、立ち上がる。
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