たとえばアナタと恋をして
「夏生に声をかけたのは、最初はなんとなく」


……うん、分かってるよ……。


「夏生と陽菜乃との、飲み会に向かう途中であのブーケを見かけて。かわいいなぁと思って」

白くて、小さい花の、ミニブーケ。


「何となく買って、向かううちに、夏生の顔が浮かんで。そういや、夏生には手ぇ出す気になんねーなって気がついて」


「……好みじゃないからでしょーよ……」


「いや、顔は好みだし。で、なんでかなーと思ったらそもそもお互いにその気がないからそうならないわけで。夏生は、チャラいの嫌いだって言ってたし、俺は傷つきたくないからそういうのかぎ分けて近寄らないし」
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