たとえばアナタと恋をして
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道案内しながらアパートまで送ってもらい、バイバイをする。
とても、上がってなんて気安く言えるような状態ではないし。
部屋も、あたしの気持ちも。
晃も、仕事中だからそんな暇は勿論なくて。
一人になってから、ふとこの状況の凄さに気づく。
えーと、これから何をどうしたらいいの?
今、あたしの心臓が飛び出しそうにバクバクしているのは、間違いなく別れ際の晃のせい。
「んじゃ、またな」
と言いながら、穏やかに微笑み、あたしのほっぺを手のひらでそっと撫でた。
ひやりと冷たい晃の手は、凄く気持ちがよくて。
そこから、キスをするわけでもなく、そっとその手は離れていって。
なんだろう、この『大切に扱われる感』。
思い出すだけで、心臓がきゅっとなるよ。