たとえばアナタと恋をして
6*
ブブブブブ ブブブブブ


寛ぐ晃のポケットからバイブ音が響く。


「あー、ちっと出ていい?」

スマホの画面を見ながら聞いてくる。


「いいに、決まってるじゃん!じゃんじゃん、出なよ!!」


「いやー、じゃんじゃんはちょっと……」

と、笑いながら出る。

営業職の晃にとって、電話は重要だろうし。

て言うか、仕事関係ではなかったとしても、あたしの前でNGな電話なんてない。


あたしは『彼女役』なだけなんだから。


……ふと。胸が痛む。
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