仲良し8人組



腕を引っ張られた事でふらっと立ち上がった彼女の目が日下部を捉える。



「私、……捕まるんですね」


「少し署までご同行頂くだけですから」


「…………」



それ以上は何も言わずに日下部に連れられてドアへと歩を進めていく。


その時、後ろから大きな声が響いた。



「ひなっ!!俺も一緒に」



さっきまでずっと彼女の背中を優しく撫でていた男性だ。


彼の必死な様子から、相当彼女が大事なのだろう。


その気持ちを悟ったのか、彼女が涙をグッと手の甲で拭いクルッと後ろを振り返る。


そして、


「一人で大丈夫……だよ」


さっきまでの青ざめた顔から一変、ふわっと優しく微笑んだ。


再び前を向いた時にはその微笑みは消えていて。


日下部と彼女が歩く足音だけが静かな校舎に響き渡っていた。


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