仲良し8人組



今年から加わった…という言葉も不思議だったが、更にアナウンサーの言った3年前という言葉の意味が分からない。


昨日のコマーシャルでは新発売!と言っていた所なのに……。


何だか、……気持ち悪い。


昨日が5月14日なら、今日は5月15日でしょ。



そこでくしゃっと自分の髪を頭ごと掴んだひなの顔は歪んでいて。


困惑の色がありありと現れている。



「今日は、5月15日。……亮介の誕生日じゃん」



ふぅっと息を吐いて、テーブルの上に置いてあったスマホを取ろうと手を伸ばした時、ふとひなの視界に入る黒い封筒。



こんなの置いてたっけ?



そう思うと同時にドクドクと早鐘を打ち始める心臓の音が全身を駆け巡る。


スマホへ向けていた指先を封筒へと向きを変える。


指先が小刻みに震えているのは、身に覚えの無いこの封筒への恐怖心から。


それでも手を伸ばしてその封筒の中を見ようとするのはきっと好奇心。


そっと指が触れるが普通の封筒だ。


ただ黒いというだけで。


『神埼ひな様』


そう書かれているだけで、他には何も書かれていない。切手すらない。


それがまたひなの恐怖心を煽る。


恐る恐る手で封筒の封を切ると、そっと中を覗く。


中に入っているのは、黒い便箋のみ。


他の物は何も無い。


それに、少しだけホッとして息を吐き出した。



昨日、記憶が無くなるほど飲み過ぎた私をこの部屋まで連れてきてくれた誰かのイタズラ。


きっとそうだ!



そう検討が付くと、さっきまでの恐怖心も徐々に消えていく。


< 38 / 256 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop