仲良し8人組
どうやら指の震えも止まったらしい。
落ち着きを取り戻すと、スッと封筒から便箋を取り出しその便箋をゆっくりと開く。
そして、便箋に書かれていた内容に目を通す。
『貴女は消えかけた存在です。
期限は三日。その後に真実の回答を。
ご幸運をお祈り致します。
A』
消えかけた存在。
意味が分からない。
こんな手の込んだイタズラをするなら、もう少し分かりやすい恐怖の手紙にしたら良かったのに……。
そう思ってしまう程意味の分からない内容に、ひなから苦笑いが漏れる。
こんな手の込んだイタズラを考えたのは誰か。
まず亮介ではないな……。
まあ、電話してみるか。
馬鹿みたいなイタズラをした犯人と、昨日のひな自身の行動について聞かなければならない。
そうしないと、スッキリしない。
便箋を封筒へと戻すと、それを短大へ持っていく鞄の中へと突っ込む。
そして、今度こそテーブルの上のスマホを手に取った。
先ずはラインを開こうと思いスマホの画面を見るが、何故かスマホの画面にラインのアプリが無い。
「えっ!バグった?」
不安になりながらも探していくが、やっぱり見付からないラインのアプリ。
それどころか全てのデータが消えている。
「嘘……。な、…何で、…初期化されてるの?」
動くのに、連絡先が一つも分からない現実。
ひなが覚えている番号は、自分の番号と実家の番号。それと、亮介の番号だけ。
梓の番号だって、真由美の番号だって分からない。
勿論、夢や勝也。太一に明。それに卓の番号も。