仲良し8人組
全てが消えてやっと気付く。自分がこんなにも人の携帯番号を覚えていないのかを。
兎に角、電話をしないと!
そう思うと、覚えている亮介の携帯番号をタップしていく。
今、ひなが知りたいのは昨日の事で。
それが最優先事項になるらしい。
スマホを耳に当てるとプルルル…という呼び出し音が鳴る。
今の時間は朝なのだから、仕事をしている亮介が寝ているという事は無いだろう。
ただ、慌ただしくはしている時間かもしれない。
そうなると、電話に出てくれない可能性もある訳だが。
コール音が4回鳴った所で、
『もしもし』
ひなが今まで聞いたことの無い様な低い亮介の声音。
明らかに不機嫌なのが声から分かる。
「あー、亮介ごめんね。忙しい時に」
『はっ!?』
亮介の機嫌を考慮して慌てて電話を掛けた事を謝ったのだが、それに対して亮介の態度にひなの肩が一瞬ビクッと揺れた。
もしかして、凄く怒ってる?
今まで一度も亮介にこんな態度を取られた事が無い為に尚更そう感じる。
「だから、ごめんって」
兎に角、そうへらっと謝ってみるも、
『あんた誰?俺の名前知ってるとか気持ち悪ぃんだけど』
亮介の苛ついた様な口調がいつも通りの優しい口調に戻る事は無い。
それにしても、誰?とまで言われるなんて……。
亮介、凄い怒ってるよ。
これ、……絶対昨日何かしでかしてるよ。
自分が亮介をここまで怒らせるとは思っていなかったひなの眉間に皺が寄る。