仲良し8人組
優しい亮介に怒られる様な事をした自分自身の失態を悔いているのだろう。
「誰って。……神埼ひなです!もう、これで良い?」
電話越しに口をへの字に曲げて、亮介の言葉を待つ。
今日は凄く手厳しいけど、それでもこれで許してよ……。
どんな酷い事をしていたとしてもいつもだったら、ここまで言ったら絶対に許してくれる。
……筈だった。
『神埼ひな?そんなやつ俺の知り合いに居ねぇよ!もう、掛けてくんな!』
まさかの言葉に声が出ない。
知り合いに居ないとまで言われるなんて……。
流石に言い過ぎだ!
亮介に一言文句でも言ってやろうとひなが大きく息を吸い込んでから口を開いたその瞬間、
ブチッ!!
という音と共に電話を切られてしまった。
後に残るのはプープー…という電子音のみ。
「もうっ!何なのよっ!」
スマホをテーブルの上に投げるように置き、ぷうっと頬を膨らませて悪態をつくも、ひなの目に涙が溜まってくる。
亮介に拒絶された事が悲しい。
そこまで亮介を怒らせてしまった自分に腹が立つ。
そんな気持ちがぐるぐるとひなの頭を回るが、時間は刻一刻と過ぎていく訳で。
右手の甲で溜まっていた涙を拭うと短大へ行く仕度に取り掛かった。
化粧をしている時に、ふとひなの目に入った本棚。
そこには、基本短大で必要な教科書等が並んでいるが、そこの一番右端に立て掛けられているピンクのノートで目が留まる。