夢想い~キミオモイ~

ザザザッ

いつしか滑り落ちる音は聞こえなくなった。

目をそっと開ける。

その時、冷たいような、温かいような風が私の横を通り過ぎた。


「綺麗・・・」


その呟く目の前には大きな枝垂桜。

今が時期と言うように、満開だった。


また私は素敵な場所に出会えた。


心が弾む。

ドキドキドキドキと鼓動が早くなる。

近くで見たい。

その思いに足が動き始めた。

一歩一歩前に進む。

近づくたびに心音が大きくなった。

風が吹き、花びらが舞う。

その風景は、私が始めてきた時の事を思い出させた。

あと少し・・少し・・・

私は手をそっと伸ばした。



「アンタ、何してるの?」



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