アドラメレク
― 切断された人の指

それだけじゃない

床には大量の血が散乱していた

胃液が逆流しそうになるのをこらえ、慌てて洗面所に向う

“ヌルリ”と足をすべらせ、血にまみれた床に思い切り倒れ込んでしまった

頬や唇に、粘着質な液体が付着する

「・・・ウグェ!」

たまらず嘔吐すると、そのまま夢の中の幼い自分と同じ様に、私は泣き出していた・・・


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