アドラメレク
恐怖より先に、激しい怒りが沸き上がってくる

私の寝ている間に、誰かが部屋に忍び込んだのだ

室内を見回す

よく見ると、ベットのシーツにも血が付いている

洋服を見ると、さっき転んで付いた真新しい血液の他に、乾ききった血痕がある


― 箱の中身を振りまいた後、私の体に触れた?

呼吸が荒くなる

身体の奥深いところから沸き上がる、ドス黒い怒り

割り箸を床に叩きつけ、おもむろに携帯をつかむと、着信履歴から母に電話をかけた
『トゥルルル・・・トゥルルル・・・』
(許さない・・・絶対に許さない!!)
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