好きじゃないんだからっ!
Ⅰ "アイツ"

大嫌いっ!

ピピピ…ピピピ…

けたたましくなる電子音が耳にズキズキささる。

あと5分だけ…

そうささやいて、またスヌーズボタンを押す


ピピピ…ピピピ…

「あ~もううるさい!」

結愛は布団をめくると同士に起き上がり、目覚まし時計のスヌーズボタンを

勢いよく押す。

もうちょっと寝てたかったのに……ていうか今何時?

目覚まし時計の針は、長針が1分を示していた。短針はというと、7にちょう

ど合わさっていた。

な、7時!?ヤバ!

家を出るのが7時10分だから…あと10分間しかない!

家を出るまで30分はかかる結愛には、10分間での準備は少し拷問である

ようだ。

急がなきゃ!


部屋を飛びだした結愛は3分で着替え、パンを焼く。その間に歯磨きと洗顔

を済ませて…

5分後 ――――――――――――――


「行ってひま~ふ!」

パンをくわえて外へ出た結愛は大きくため息をついた。

疲れた…もう寝坊なんかしないもん!

とは言っても、もう寝坊5回はした…泣


家の前の通りを曲がると、制服姿の男子を見つけた。

後ろ姿なのでよく分かんないが…たぶん自分の中学の男子だ。

誰だあれ?

少し早足で歩きだし、その背中に近づいてく。

するとこちらに気づいたのか、その人は後ろを振り向いた。

これはきっと運命の出会い…♡

―― 君、彼氏いる?

―― い、いえ、いません!

―― 学校までちょっと一緒に行こっか

―― はい♡

バンッ

「いったーい!」

「お前がボーっとしてるからだろうが!」

「なんだ輝?」

輝は私と同じ地区に住んでて、幼なじみ。でも正直…生意気だから嫌い!

「てか、なんだよそのパン!お前…寝坊!?」

「私が寝坊して悪いの!?」

「ううん、悪くないよ…クスッ」

「笑ってんの聞こえてる!」

というのが約30分続き、学校 ――――――

靴を履き、校舎内に入った瞬間…

「ひゅーー!」

「今日は二人で登校デスカー!」

「奥さん…こんな奴ですが、よろしく頼みます…」

はあぁぁぁぁ!?

私が輝の奥さん?ないわー笑

「おいおいよせよ…」

輝、反論してくれんの!?たまには頼りになr…

「こんなアホ面してる奴の彼氏がどこにいる?」

…前言撤回!

「誰がアホ面ですってー!?」

あぁーもうやだ!
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