あまさがたりないくらいでいいの。
第1章

あめのひ。




高松 あめ。
現在受験生の15歳。


“あめ”って飴みたいで可愛いね。

なんていつも
言われるけど全っ然嬉しくない。


私は皆が嫌いな梅雨に生まれた。
梅雨だから、雨で“あめ”。

簡単過ぎる。ちっとも可愛くない。

だけど、梅雨も雨も嫌いじゃない。


名前のせいもあってかなくてか、
私はいつも飴を食べている。

それは、いつも決まってりんご味。

苺みたいに甘すぎないし、
檸檬みたいに酸っぱすぎない。


仲の良い友達の何人かは私のことを
「りんごちゃん」なんて呼んだりする。

ある人のせいで、
その名前はいつのまにか浸透していた。


どこにでもいるような、
ごくごく普通の女子中学生。

それが私、高松あめ。



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