あまさがたりないくらいでいいの。
りんご味の飴を口の中で転がしながら、
私は考え事をしていた。
いつまで、こんなかんじなのかな。
今年度が終われば私は高校生。
どこに行くか、なんて考えてもいない。
楽しい時間こそ、永遠に続くべきなのに。
なんで早く感じてしまうのかな。
すると、背中をドンッと押された。
「あーめ!おっはよー!」
じゃらじゃらとキーホルダーがついている、目立ちすぎなスクールバッグで背中を
殴られた。
彼女は、橘花 雫石。
中1の時に出席番号が前後で、それで仲良くなった。
それから、2回のクラス替えがあったけど
幸運な事に雫石とは離れなかった。
「朝から元気だね、雫石」
「今日の朝ご飯はいちごジャムパンだったからね♪」
「本当に苺好きだよね」
だって甘くて美味しいんだもんっ!
なんて隣で話す雫石はテンションがいつもより高かった。
「りんご、おはよー」
後ろから聞こえる声に、振り返る理由もなく、その呼び方やめなさいと冷たく返す。
彼は、芦沢 泰汰。
別にきっかけとかは無いけど、なんやかんやで一緒にいる率高い。
その後ろで雫石と一緒になってぎゃーぎゃー騒いでる奴。
あれは、酒井 涼我。
「え、なんだよ今更」
「…どうせその呼び方変えないんでしょ」
「当たり前!」
はぁぁ、もう疲れる。
「りんご!俺腹へったぁー」
「涼我には昨日は飴あげたじゃん」
「あめー!苺味の飴ちょーだい?」
「いいよ、はいっ」
「わーい!あめ大好きーっ♡」
「えーっ、俺には…?」
「仕方ないなぁ、はい」
「よっしゃ!りんごさんきゅー♪」
「あ、涼我ずりぃ!俺も貰おー!」
「はいはい」
「あざーっす!」
本当は疲れたりなんかしない。
この時間はすごく楽しかったりする。