Sなハンターと鈍感な兎。
どうにかしないとな
火曜日。

いつも通り告白してきた女子を切り捨てて教室に入ると、

「ハンちゃ「・・・」
「げぇっ!?」

肘鉄。

「頼むからみぞおちは無しで・・・」
「はいはい。で、何の用」
「・・・つめてぇなぁオイ。ま、それはそうとして、」

透は周りがこちらを気にしていない事を確認すると、

「お前今日も女子ふっただろ?」
「だったら何」
「ウチのクラスの女子、一人以外全滅。」
「え、マジ?」

ここまで話した所で、HRが始まった。

あと一人・・・か
まぁどうせ告白されても断るだけだし



放課後。

やることもないので教室で透と話していた。

「お前部活はー?」
「サッカーなんか好きじゃないしーw」
「じゃあなんで入ったし・・・」

実は、高1のときは二人で空手部に入っていた。小学生の時から空手をやっていた二人は、学校は違えど仲が良かった。
高1になり、二人は2段まで腕をあげていた。
だが、高2になる直前の事、透と俺で遊びに行った帰りに、不良に囲まれた中学生を見つけた俺たちは思わず飛び込んだ。

その結果。不良たちはボッコボコ、俺たちは警察に連れていかれ、ブタ箱送りにはならなかったものの、空手を辞めさせられた。

「ったく、思い出に浸るもんじゃないなー」
「お前がサッカー始めた理由が空手だとか言うからだろ」
「わりわり。んじゃ、先帰るわ。お前も遅くなるなよー」
「おう、じゃなー」

透が出ていくと、教室には俺しかいなくなった。
俺も帰るか、と鞄を持ったその時、教室の扉が開いた。

「・・・あ」
「・・・」

明らかに・・・避けられてる・・・

「あの・・・」
「ご、ごごごご、ごめんなさいっ!」

なんで謝った?
それにこの子、確かこのクラス一人だけの俺に告白してない(らしい)子だ。

「いや、なんで謝る?」
「え、いや、その、あの・・・」

俺が一歩近づくと、彼女は一歩後ずさる
そして・・・

「いたぁっ」

豪快に尻餅をつく。

「大丈夫!?」
「だ、大丈夫ですっ!」

尻餅をついたままで後ろに下がる。
・・・足を開いているせいで、下着丸見え。

(水色か・・・)


俺のそんな目線には気付いていないようで、辛そうな目で息を荒げる。

「はぁっ・・・はぁっ・・・」
「本当に大丈夫か?お前、確か兎谷(うさたに)・・・だよな?もしかして、男子苦手?」

・・・なぜか。
こいつの前だと普通に話せる、落ち着ける。小さくコクリと頷いた彼女に、俺は手を差し出して、

「俺も女子があんまり得意じゃないんだ。だから、二人で頑張ってみないか?この体質、何とかしないとな。」
「・・・は、はい」

彼女ほんの少し躊躇ったが、やんわりと手を握り返してくれた。

こいつとなら、頑張れそうな気がする。
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