絆物語~クールな教師(アイツ)と狼少女の恋~
金色の炎が、広がり、街を覆い尽くしていく…。

伝説の炎だ。

妖精王とアンティストが900年の時を経て戻ってきたのだ。

なぜだか悲しい。

とても悲しい。

激しく心を揺さぶる、胸が引き裂かれるような慟哭。

なぜ…?

一体何が、そんなに悲しいという…?

そこで、テフィオは目覚めた。

ツゥ、と一筋の涙が目の横を流れて枕に沁みたのがわかる。

またあの夢か、とテフィオは思った。

近頃よく見る夢。

金色の炎の、滅亡の日の夢…。

それは確かに怖いことかもしれないが、だからといって泣いて目覚めるなど…子供じゃあるまいし。

テフィオは涙を乱暴にぬぐい、起き上がって窓の外を見た。

朝焼けが、空一面をピンク色に染めている。

山際はまだ夜の色を帯び、グラデーションが美しい。

美しい朝だ。

もう眠れそうもなかったので、テフィオは着替え、あてもなく宿舎の外に出た。

テフィオの宿舎は教師たちの宿舎の中でも特上のスイート。広い居間に寝室、娯楽室、二階にまでセカンドリビングやゲストルームがある。そのどこかで勤務開始までのんびりしてもよかったが、テフィオは夢の悲しみの残滓を振り払うために、外の空気を吸いたかったのだった。
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