絆物語~クールな教師(アイツ)と狼少女の恋~
2
「本当に、伝説のアンティスト様と、妖精王様…なの?」
案内された小屋で着替えたシルフィがおずおずと尋ねると、二人はしっかりと頷いた。
「いかにも。無論、信じられずともよい。だが、信じても損はさせぬ。
私と妖精王は900年ぶりにこの地に戻ってきたんだ。
そして…がっかりしたよ。すべて、最初から、やり直さなければならないと思った」
「やり直す…?」
「金の炎で、この歪んだ都市を、人間もろとも焼き尽くす」
「そんな…!」
今にして思えば、アンティストはわざとこのように挑発的な言い方をしたのだろう。シルフィが生きる意欲を取り戻すように。
「やめて、殺さないで…父様と母様を、みんなを、殺さないで!」
シルフィがアンティストにすがりつくと、彼はこの上もなく優しい目をしてシルフィの頭を撫でた。
「…優しい子だな」
妖精王も微笑んでシルフィに語りかけた。
「お前をみつけたから…私たちは少し気が変わった。私たちはお前を、“運命の英雄”に選ぶことにした」
「運命の英雄…? なにそれ…?」
「知らないのか。この世界の行く末を左右する、選ばれし人間のことだよ」
「そんな人を…あたしにしていいの?」
「ああ。だが大変だぞ。お前は生きて、これから、この世界に人間と妖精の絆を取り戻させなければならない。お前がまた死のうとしたりなどすれば、私たちは皆を焼き尽くす。お前が絆を取り戻せなければ、やはり焼き尽くす。さあ、泣いている暇はないぞ? 急ぐことだ」
案内された小屋で着替えたシルフィがおずおずと尋ねると、二人はしっかりと頷いた。
「いかにも。無論、信じられずともよい。だが、信じても損はさせぬ。
私と妖精王は900年ぶりにこの地に戻ってきたんだ。
そして…がっかりしたよ。すべて、最初から、やり直さなければならないと思った」
「やり直す…?」
「金の炎で、この歪んだ都市を、人間もろとも焼き尽くす」
「そんな…!」
今にして思えば、アンティストはわざとこのように挑発的な言い方をしたのだろう。シルフィが生きる意欲を取り戻すように。
「やめて、殺さないで…父様と母様を、みんなを、殺さないで!」
シルフィがアンティストにすがりつくと、彼はこの上もなく優しい目をしてシルフィの頭を撫でた。
「…優しい子だな」
妖精王も微笑んでシルフィに語りかけた。
「お前をみつけたから…私たちは少し気が変わった。私たちはお前を、“運命の英雄”に選ぶことにした」
「運命の英雄…? なにそれ…?」
「知らないのか。この世界の行く末を左右する、選ばれし人間のことだよ」
「そんな人を…あたしにしていいの?」
「ああ。だが大変だぞ。お前は生きて、これから、この世界に人間と妖精の絆を取り戻させなければならない。お前がまた死のうとしたりなどすれば、私たちは皆を焼き尽くす。お前が絆を取り戻せなければ、やはり焼き尽くす。さあ、泣いている暇はないぞ? 急ぐことだ」