絆物語~クールな教師(アイツ)と狼少女の恋~
2
ファイツは悩んでいた。
悩みすぎてどうにかなってしまいそうだった。
愛玩奴隷にされ連れ去られた兄により告げられた、真実。
“両親の仇が、テフィオリウス―”
奴を殺せと、兄は言った。
以前の自分なら迷いなく、そうしていただろう。
しかし今のファイツには、なぜかそれを押しとどめる謎の感情があった。
ずっと憎み続けてきた人間。
ずっと狙い続けてきた人間への復讐。
それを叶えるために、自分は努力をしてきた。
教室を抜け出し、保健室に忍び込んだのは、復讐に使う毒を入手するためだ。
シルフィが静めたねずみ騒動も、そのためのものだった。
すでに毒は手に入れている。
オニゲシ――麻酔、鎮痛、下痢止めなどに使われる薬だが、150ミリグラム以上用いると呼吸困難に陥る毒。
クサノオウ―鎮痛、胃潰瘍などに使われる薬だが多量に用いれば脳がマヒする毒。
復讐は簡単だ。これをテフィオの飲み水に混ぜればよいのだ。
両親を殺された悔しさを、ファイツは一日たりとも忘れたことがない。
今こそ復讐の時だというのに、自分はいったいどうしたのだろう…。
悩みすぎてどうにかなってしまいそうだった。
愛玩奴隷にされ連れ去られた兄により告げられた、真実。
“両親の仇が、テフィオリウス―”
奴を殺せと、兄は言った。
以前の自分なら迷いなく、そうしていただろう。
しかし今のファイツには、なぜかそれを押しとどめる謎の感情があった。
ずっと憎み続けてきた人間。
ずっと狙い続けてきた人間への復讐。
それを叶えるために、自分は努力をしてきた。
教室を抜け出し、保健室に忍び込んだのは、復讐に使う毒を入手するためだ。
シルフィが静めたねずみ騒動も、そのためのものだった。
すでに毒は手に入れている。
オニゲシ――麻酔、鎮痛、下痢止めなどに使われる薬だが、150ミリグラム以上用いると呼吸困難に陥る毒。
クサノオウ―鎮痛、胃潰瘍などに使われる薬だが多量に用いれば脳がマヒする毒。
復讐は簡単だ。これをテフィオの飲み水に混ぜればよいのだ。
両親を殺された悔しさを、ファイツは一日たりとも忘れたことがない。
今こそ復讐の時だというのに、自分はいったいどうしたのだろう…。