絆物語~クールな教師(アイツ)と狼少女の恋~
しかし今はそんなことに驚いている場合ではなかった。

「え!?」

「早く僕と“契約(ファントリエル)”を!
あいつを、あいつを、助けるんだよ!」

しかしテフィオはこの目で見ていた。

矢が的確にシルフィの急所を射抜いていたのを。

だから震える涙声で答えた。

「だめだファイツ、助からない――」

「うるさい! 助けるんだよ!! 妖精先生(ファンタジェル・ラキスター)なんだろ!? 助けてくれよ!!」

その言葉にはっとする。

妖精先生。

シルフィと同じ、シルフィが大切にする職…。

絆を育て、守る職業。

ここで彼女を守れなくて、何が妖精先生だ。

「そうだ…俺も、妖精先生(ファンタジェル・ラキスター)だ!」

間に合うだろうか。

守れるだろうか。

出会ってから、いがみあってばかりだったファイツと二人で。

大切な人を。

妖精たちの大群が、今度はシルフィが倒されたことに怒り狂って前進してくる。

…止めなければ!
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