絆物語~クールな教師(アイツ)と狼少女の恋~
「…この、アンティスト様と妖精王(ファンタジェリスタ)が友情を誓い合ったその時、はじめて、絆(プティ)という概念が生まれたって言われてるんだ。絆という概念から、〈契約(ファントリエル)〉が生まれて、妖精先生(ファンタジェル・ラキスター)という仕事が生まれたの。言葉や習慣を妖精(ファンタジェル)たちに教えながら、絆を育て、守る仕事として。アンティスト様こそ、最初にして最高の妖精先生(ファンタジェル・ラキスター)なんだよ」
女たちの何かを恐れるような視線が集まる中、シルフィはさらに語ろうと口を開く。
が、その時べこんと後頭部を叩かれたため次の言葉は「痛っ」にとってかわった。
「無駄口を叩いてないで早く着替えなさい!」
シルフィが頭を抱えて上目づかいに見上げると、吊り上った鋭い目と目が合った。細い眉にこけた頬、ぱさぱさの髪をひとつにまとめた中年の彼女の名はラジエット。中央妖精大学校の掃除婦長である。
「よいですか。あとで私が見回って汚れが少しでも残っていたらこの鞭で打ちますよ。汚れが落ちるまで打ちます、いいですね!」
「はい、ラジエット掃除婦長」
皆が唱和したが、シルフィは掃除婦の地味な白いつなぎに着替えながら、舌を出して皆とは声を合せなかった。鞭で打つのは容認できないのだ。
女たちの何かを恐れるような視線が集まる中、シルフィはさらに語ろうと口を開く。
が、その時べこんと後頭部を叩かれたため次の言葉は「痛っ」にとってかわった。
「無駄口を叩いてないで早く着替えなさい!」
シルフィが頭を抱えて上目づかいに見上げると、吊り上った鋭い目と目が合った。細い眉にこけた頬、ぱさぱさの髪をひとつにまとめた中年の彼女の名はラジエット。中央妖精大学校の掃除婦長である。
「よいですか。あとで私が見回って汚れが少しでも残っていたらこの鞭で打ちますよ。汚れが落ちるまで打ちます、いいですね!」
「はい、ラジエット掃除婦長」
皆が唱和したが、シルフィは掃除婦の地味な白いつなぎに着替えながら、舌を出して皆とは声を合せなかった。鞭で打つのは容認できないのだ。