絆物語~クールな教師(アイツ)と狼少女の恋~
「なれるよ! ほら…空を見て」
『空?』
プチが小首をかしげる。
柱の隙間から覗く空は今灰色の雲に覆われ、細い雨が降りしきっていた。
『雨が降ってるだけだよ』
「だけじゃないんだなぁこれが。この頃雨が続いてるでしょ。チャンスの匂いがするよ」
『それってどんな匂い?』
「おいしいナッツのタルトに無花果のソースをた~っぷり、かけたような匂い」
『ほわ~ん、おいしそう』
「さらにバターをどっさりいれたふんわりやわらか白パンにたっぷり砂糖衣を…」
『ほわわわ~ん』
不意にぴしりと、よだれの出る妄想にふける一人と一羽の鼻先をふさふさの尻尾が打った。
回し蹴りならぬ回し打ちを決めて見せたシャドウの目は“バカはそれくらいにしておけ”と語っていたが、鼻の頭に器用にかわいいきのこをのせているので威厳はない。
『アハハ、話が逸れちゃったね。それで本当のところはどうやってなるつもりなの?』
「それはもちろん」
『もちろん?』
シルフィは満面の笑顔でのたまう。
「神のみぞ知る!」
がっくりとプチは肩(?)を落とした。
『つまり、具体的な案は何もないってことだねぇぇ~ハァァ~』
プチは大仰にため息をつくが、シルフィの気持ちは相も変わらず明るかった。
ドキドキとわくわくで胸がいっぱいだ。
掃除婦といえど、学校の中にいられるのは嬉しかった。
掃除婦にも16歳以上という年齢制限があるゆえに、今までは応募すらできなかったのだからこれは前進だと思っていた。
そして広がる未来の中に、吸い込む空気のどこかに、確かにチャンスを感じていた。
『でもシルフィが笑っている限り、ボクは応援するよ。とりあえず風邪に気を付けてよ。傘、持って来た? 傘も無く濡れて帰ったりしたら、門番の人みたいに風邪ひいちゃうんだからね』
「門番が風邪? うーーーん! チャンスチャンス!」
『…何が?』
『空?』
プチが小首をかしげる。
柱の隙間から覗く空は今灰色の雲に覆われ、細い雨が降りしきっていた。
『雨が降ってるだけだよ』
「だけじゃないんだなぁこれが。この頃雨が続いてるでしょ。チャンスの匂いがするよ」
『それってどんな匂い?』
「おいしいナッツのタルトに無花果のソースをた~っぷり、かけたような匂い」
『ほわ~ん、おいしそう』
「さらにバターをどっさりいれたふんわりやわらか白パンにたっぷり砂糖衣を…」
『ほわわわ~ん』
不意にぴしりと、よだれの出る妄想にふける一人と一羽の鼻先をふさふさの尻尾が打った。
回し蹴りならぬ回し打ちを決めて見せたシャドウの目は“バカはそれくらいにしておけ”と語っていたが、鼻の頭に器用にかわいいきのこをのせているので威厳はない。
『アハハ、話が逸れちゃったね。それで本当のところはどうやってなるつもりなの?』
「それはもちろん」
『もちろん?』
シルフィは満面の笑顔でのたまう。
「神のみぞ知る!」
がっくりとプチは肩(?)を落とした。
『つまり、具体的な案は何もないってことだねぇぇ~ハァァ~』
プチは大仰にため息をつくが、シルフィの気持ちは相も変わらず明るかった。
ドキドキとわくわくで胸がいっぱいだ。
掃除婦といえど、学校の中にいられるのは嬉しかった。
掃除婦にも16歳以上という年齢制限があるゆえに、今までは応募すらできなかったのだからこれは前進だと思っていた。
そして広がる未来の中に、吸い込む空気のどこかに、確かにチャンスを感じていた。
『でもシルフィが笑っている限り、ボクは応援するよ。とりあえず風邪に気を付けてよ。傘、持って来た? 傘も無く濡れて帰ったりしたら、門番の人みたいに風邪ひいちゃうんだからね』
「門番が風邪? うーーーん! チャンスチャンス!」
『…何が?』