絆物語~クールな教師(アイツ)と狼少女の恋~
「テフィオリウス先生はいらっしゃいますかー」

職員室の戸口の仕切りカーテンをめくり、シルフィは声をあげたが、案の定「掃除婦がなんの用だ!」といかつい顔の教師の一人と思しき人物にすぐさま追い払われてしまった。目の前でざあっと仕切りカーテンを閉められ、シルフィは目をぱちくりさせる。

「話くらい聞いてくれてもいいのにね? さて、どうするか…」

シルフィはしばし思案したあと、「いよ~し」と腕をまくった。

「気配を消してこっそり職員室に入ってみよう! それでテフィオ先生を捜す」

シルフィには最善の策と思えたのだが、プチはがっくりと肩(?)を落とす。

『無理に決まってるでしょ。人がいるし、シルフィすっごく目立つんだから』

「そうか! その手があったか! 着替えてくるよ。それで、先生の一人ですって顔して堂々と!」

『もっと無理だよ~』

「そんなことないよ。大丈夫大丈夫!」

思いついたら即行動のシルフィだ。

早速着替えに行こうとした彼女を、シャドウが服の裾をくわえて止めた。

無言のまま、目線でプチに何かを訴える。

長い付き合いだ、プチにはそれだけでシャドウの言わんとしていることがわかった。

『ええ? ボクに行けって? 体が小さいから目立たないだろうって? ボクに、できるかなぁ。自信、ないなぁ…』

シャドウはわたわたとまだ着替えに行こうとしているシルフィをとらえたまま、それでも行けと訴える。

『わかったよ。自信、ないけど、乗りかかった船だからね。よし、がんばる!』

かくしてプチが職員室に潜入することとなった。
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