絆物語~クールな教師(アイツ)と狼少女の恋~
ぺたぺた床を歩いてそぅっと忍び込み、机の影から影を縫うようにしてまずはテフィオリウスの席を探す。140席もの中からそれは困難に思えたが、幸い戸口近くにその名が示された机を見つけた。

空席だ。テフィオリウスはここにはいないらしい。この情報だけで引き下がっていいものかと、プチが迷っていると、事務の女性が何やら見覚えのある書類を抱えてプチの脇を通りすぎて行った。

(どこで見たんだっけ? あの羊皮紙の感じ…あ! 面接書類!)

プチはその女性をつけはじめた。

ぴんときたのだ。

きっとこれからこの女性は書類をまとめるはず。そこを覗けば、運が良ければテフィオリウスの詳しい情報を得られるかも知れないと。

事務の女性は広い職員室の隅に行き、案の定書類を一枚一枚確認しながらしまい始めた。プチは飛び上がって天井に張り付き、そうっと書類を覗き込む。

(テフィオリウス、テフィオリウス、あった!)

「テフィオリウス。筆記試験は一位通過。49歳。特技剣、茶色っぽい髪…」

プチの報告を聞き、シルフィは顔を輝かせた。

「それだけわかればばっちりだよ! こおんなかんじの頭のいいオジサン先生ね! さあがせ~!」

『お~!!』

本当にわかったのかとシャドウは二人に胡乱な目を向けているが、それでもあとをついてきた。シャドウも大概人(?)が好いのだった。
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