絆物語~クールな教師(アイツ)と狼少女の恋~
「よろしい。お前には俺の1―36クラス、教科担当の協制先生(パートナーラキスター)になってもらう予定だ。生徒はそこにいるファイツ、一匹だけの特別クラスだ」

テフィオの一方的な命令口調の言葉も、今のシルフィには神のお告げのごとく聞こえる。

「はい! はい! わかりました~! この子、ファイツっていうんだね。これからよろしく! ファイツ、テフィオ先生」

三日月模様の妖精ファイツは、シルフィからふいっと視線をそらす。

「あくまでも予定だ。お前にはまず国語、数学、理科、社会、語学、政治経済、マナーを徹底的に勉強してきてもらう。数週間後テストを行い、それに合格しなければ協制先生とは認めない」

「勉強なら大丈夫だよ! あたし、今回の先生試験受けて、20位になれたから」

「20位!?」

テフィオは大仰にため息をついた。

「せめて10位以内に入る実力でなければ認められない。俺がみっちり教え込むから覚悟しろ」

「10位以内? ひえ~。でもわかった、やるよ! テフィオ先生、よろしくご指導お願いしま~す!」

『なんだかよくわからないけど、がんばってシルフィ!』

「うん! ありがとう!」

プチとハイタッチをかわし、和やかな目つきをしているシャドウと視線をかわすと、実感が湧いてきた。

先生になれるのだ。

ずっと願い続けたことが、叶うのだ。

しかしシルフィは喜びをかみしめてばかりはいられなかった。

その時賊の一人が身じろぎし、意識を取り戻したからだ。
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