絆物語~クールな教師(アイツ)と狼少女の恋~
「ところでさ、目的って何?」

「お前などに教えるはずがない」

テフィオの返答はにべもないが、シルフィはまだちょっと恥じらったまま、にっこりほほ笑んだ。

「目的がなんでも、いいよ。婚約者はどうかと思うけど、とりあえず先生にしてくれて、ありがとう!」

「―――!?」

「せっかく妖精先生になれたんだもの、絆(プティ)を育てる、守るを、今まで以上にはりきって実践していくぞ~!」

再び熱弁モードになり恥じらいもどこへやら一人で盛り上がるシルフィを、テフィオは珍獣でも見るような目つきで眺める。その目つきをどう勘違いしたのか、肩の上のプチがはは~んと流し目を送った。

『わかったよ。テフィオ先生、実は絆(プティ)についてよく知らないんだね。それを知りたいって顔だね!』

「え! 絆(プティ)について知りたい!?」

そんなことは誰も言っていないのだが、このコンビをわざわざ止めるだけの労力をテフィオは惜しんだ。

二人が嬉々として説明するのを、結局テフィオは教室に着くまで延々と聞く羽目になった。

絆とは、愛に愛が合わさったもののことだ。

目に見えず、形はない。

ゆえにその正体の本当のところは誰にもわからないのであるが、シルフィはこの絆が、すべての者どうしにあると考えている。

これはアンティストと同じ考え方だった。

命は深いところでつながり、愛し合っているのだ。

これが基本的な絆であり、ほかにも育てる絆もあるのだが、明確な区切りはない。

お互いを大切に想う気持ち、信頼や恋愛の絆も、性質は違い様々な表情を見せるが、すべては愛に愛が合わさった絆なのである。
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