絆物語~クールな教師(アイツ)と狼少女の恋~
妖精たちがどんなところで暮らしているか。
それは50万の妖精がいると言われるジュピテリオスにおいても、容易に知ることはできない。逃亡させないために、国による管理が厳しいのだ。妖精たちのために人生を捧げてきたシルフィですら、正確なことを何一つ知らなかった。
だから、妖精たちの寮を訪れるのをシルフィは少し楽しみにしていた。
けれど。
「ここは……」
ふるふるとシルフィの体が震える。
怒りでだ。
そう、シルフィは怒っているのだ。
この場所に。この妖精たちの“寮”に。
「あんまりだよ!!」
シルフィの絶叫が、殷々と石壁にこだまする。
どうして寮の入り口に見張りが二人もついていたのか、理由がやっとわかった。
逃亡を防ぐためだけでなく…この場所を、この場所のひどさを、知られないためだったのだ。
二人の見張りをプチとシャドウに追い払ってもらい、試食を山ほど抱えて意気揚々と踏み込んだ寮内部。
最初は、ここが妖精たちの寮だなんて何かの間違いだと思った。
それほどにそこは暗く、じめじめとして、ひどい異臭が漂っていた。
シャドウが(なぜか)無言で持ってきていたランタンの灯りがなかったら、一寸先も見えぬほどの暗闇に包まれていた。
それは50万の妖精がいると言われるジュピテリオスにおいても、容易に知ることはできない。逃亡させないために、国による管理が厳しいのだ。妖精たちのために人生を捧げてきたシルフィですら、正確なことを何一つ知らなかった。
だから、妖精たちの寮を訪れるのをシルフィは少し楽しみにしていた。
けれど。
「ここは……」
ふるふるとシルフィの体が震える。
怒りでだ。
そう、シルフィは怒っているのだ。
この場所に。この妖精たちの“寮”に。
「あんまりだよ!!」
シルフィの絶叫が、殷々と石壁にこだまする。
どうして寮の入り口に見張りが二人もついていたのか、理由がやっとわかった。
逃亡を防ぐためだけでなく…この場所を、この場所のひどさを、知られないためだったのだ。
二人の見張りをプチとシャドウに追い払ってもらい、試食を山ほど抱えて意気揚々と踏み込んだ寮内部。
最初は、ここが妖精たちの寮だなんて何かの間違いだと思った。
それほどにそこは暗く、じめじめとして、ひどい異臭が漂っていた。
シャドウが(なぜか)無言で持ってきていたランタンの灯りがなかったら、一寸先も見えぬほどの暗闇に包まれていた。