絆物語~クールな教師(アイツ)と狼少女の恋~
案の定テフィオはがみがみとしかりつけた。

「バカかお前は。このまま外に連れ出すなど…もしばれたら、減給じゃ済まないぞ、わかってるのか?」

「わかってるけど、ファイツにだって外の世界を見る権利があるよ」

「外の世界…権利…」

そこでなぜかテフィオが何か思案するような表情になる。

このまま見逃してくれるだろうかと、シルフィがどきどきしながら次の言葉を待っていると、テフィオは予想外なことを聞いてきた。

「外で何をするつもりだ? 頭は使うのか」

「え?」

「ファイツは外で頭を使うのかと聞いているんだ」

話の要点がわからずシルフィは混乱した。テフィオはいつも系統だった話し方をする人なので、こんなふうに突飛なことを聞いてくるなど初めてのことだ。

「え~と…うん、頭は使うよ、使う時は」

「…俺もついていかせてもらう」

「ええ~っ!?」

「む、奴らだ…」

「え?」

話についていけないシルフィを、テフィオの腕が突然抱き寄せてくる。

―例の婚約者のふり!?

その肩や腕のたくましさに、シルフィは瞬時に耳まで真っ赤になった。

恋心を自覚したあとだから、なおさら悪い。
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