絆物語~クールな教師(アイツ)と狼少女の恋~
「だっ、だからそ~ゆ~のやめてってばテフィオ先生! 生きた心地がしないんだってば!」

シルフィは渾身の力で暴れているつもりなのだが、がっちりと抑え込まれてしまって体はびくともしない。

「うるさい黙れ。これくらいで何言ってる。もっと本腰入れて俺に恋でもするふりをしろ」

「す、するもんですか!」

―本当に恋しちゃってるんですから!

「きゃんきゃん耳元でわめくな、うるさいぞ」

「わめかせてるのは先生でしょっ」

「これ以上わめくとまたキスするぞ?」

ぴた、とシルフィが暴れるのをやめたので、テフィオは唇の端をわずかに持ち上げて笑った。

―わらっ…た…?

至近距離での微笑みは、どこかあどけなさがあった。

シルフィが思わずぽーっと見とれていると、急に体を突き放された。

「…行ったな。なんだ、ぼーっとして。もう恋してるふりはいいぞ」

「…わ、わかってるよ、もぅ…」

悔しいことに、こんなところも、日に日に好きになっていく一方なのだった。
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