絆物語~クールな教師(アイツ)と狼少女の恋~
「で、どこへ行くつもりだ?」
仏頂面でシルフィたちのあとについてきていたテフィオが、虫の居所の悪そうな声を響かせる。
「そんなに遠くじゃないよ、あ、着いた着いた」
シルフィは広場の隅の一角に陣取ると、てきぱきと何やら準備を始めた。
テーブルとイス。
羊皮紙とペン。
掲げた旗に、大きく文字が書かれている。
“無料相談所”
「相談所、だと…?」
テフィオに胡乱なまなざしを向けられても、シルフィは悪びれない。
「そう! 毎週末ここで無料相談所をやってるの。妖精先生の資格を得たから、やっとこういうことも法律で許されるようになったんだ」
「なぜ相談所など開く必要がある」
「テフィオ先生、知らないの? 古くより妖精先生は、妖精と人間の絆だけじゃなくて、人間同士の絆も育て、守る存在だって!」
「人間同士の絆…だと…?」
「ちょっとでも役に立ちたいの! 絆を育て守るために!」
テフィオはしばし絶句したのち、聞き取れないような小さな声でつぶやいた。
「…なんなんだこいつ…。本気…なんだろう、な」
「さあ! プチ、シャドウ、今日も一緒にがんばろうね! ファイツも、テフィオ先生も、よく見ててよ! 妖精先生ってこういう仕事なんだから」
「こういうって…お前、客なんて誰も来ないに決まっているだろう。誰かに相談など、俺たち人間はとうの昔に忘れた」
「そんなことないよ! いつも来てくれる子が一人いるもの」
プチがすかさず訂正する。
『シルフィ、正確にはいつもここを通る子、だと思うよ』
「そうとも言うけど」
「…で、それのどこがファイツの頭を使わせることになるんだ?」
「もちろん! 相談に乗るには頭を使うでしょ」
「たった一人の通りすがる子供の、な……ついてきた俺が間違いだった」
仏頂面でシルフィたちのあとについてきていたテフィオが、虫の居所の悪そうな声を響かせる。
「そんなに遠くじゃないよ、あ、着いた着いた」
シルフィは広場の隅の一角に陣取ると、てきぱきと何やら準備を始めた。
テーブルとイス。
羊皮紙とペン。
掲げた旗に、大きく文字が書かれている。
“無料相談所”
「相談所、だと…?」
テフィオに胡乱なまなざしを向けられても、シルフィは悪びれない。
「そう! 毎週末ここで無料相談所をやってるの。妖精先生の資格を得たから、やっとこういうことも法律で許されるようになったんだ」
「なぜ相談所など開く必要がある」
「テフィオ先生、知らないの? 古くより妖精先生は、妖精と人間の絆だけじゃなくて、人間同士の絆も育て、守る存在だって!」
「人間同士の絆…だと…?」
「ちょっとでも役に立ちたいの! 絆を育て守るために!」
テフィオはしばし絶句したのち、聞き取れないような小さな声でつぶやいた。
「…なんなんだこいつ…。本気…なんだろう、な」
「さあ! プチ、シャドウ、今日も一緒にがんばろうね! ファイツも、テフィオ先生も、よく見ててよ! 妖精先生ってこういう仕事なんだから」
「こういうって…お前、客なんて誰も来ないに決まっているだろう。誰かに相談など、俺たち人間はとうの昔に忘れた」
「そんなことないよ! いつも来てくれる子が一人いるもの」
プチがすかさず訂正する。
『シルフィ、正確にはいつもここを通る子、だと思うよ』
「そうとも言うけど」
「…で、それのどこがファイツの頭を使わせることになるんだ?」
「もちろん! 相談に乗るには頭を使うでしょ」
「たった一人の通りすがる子供の、な……ついてきた俺が間違いだった」