絆物語~クールな教師(アイツ)と狼少女の恋~
それから一刻ほどの間、結局シルフィだけが仮眠をとった。

「おい、起きろ。そろそろ行くぞ」

テフィオの声で目覚め、目的の部屋を改めて見ると、部屋の周囲に置かれていたランプの灯りが消され、明らかに周囲に人気がなくなったのがわかった。

行くなら今しかないだろう。

三人は頷き合うと、立ちあがり、その部屋へとひそやかに走った。

重い鉄製の扉を開け、中に忍び込み、音をたてないようにそっと閉める。

シルフィは一瞬視界が真っ暗になったが、すぐにテフィオの用意したランプに灯りがともされぼうっとあたりが浮かび上がった。

たくさんの巻物の木製書棚に、同じく木製の机が並んでいるのがわかる。このような郊外のさびれた場所では、“気”はあまり使われない。身分の低い者はそれだけ気の力が弱く、家具調度まで気でそろえることができないのだ。

乾いた空気。埃っぽい匂いと、巻物やインクの匂い。

もとは倉庫か何かだったようで、空間がだだっ広く、足音が反響した。
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