絆物語~クールな教師(アイツ)と狼少女の恋~
「それにしてもすごい数の巻物だね…。この中からどうやって、バリバウスの筆跡のある証拠品をみつけろっていうんだろう?」

シルフィは書棚を見ながらため息をつきそうになったが、そんな彼女をテフィオが一蹴した。

「お前バカだな。そんなところに堂々としまうわけないだろう? あるとしたらこっちだ」

テフィオはそう言うと、並んだ机の方へと歩いて行った。

机の上は整頓され、一見使われていないように見える。

「やっぱり、鍵がかかっているな」

テフィオが注目したのはどうやら鍵のかかった引き出しらしい。しかし鍵だけは立派な“気”製のもので、鍵を創った本人の“気”でしか開かないようになっている。

「どうするの?」

「…こうする」

テフィオはランプをシルフィに手渡すと、なんと思い切り引き出しを蹴り下ろした。

ガン!

ガン!

ガン! ベコッ!

たった三回の蹴りで、引き出しは無残な木の残骸となり果ててしまった。

周囲に散らばった引き出しの中身の中に、テフィオはある巻物をみつける。

シルフィがランプをかざしてテフィオの手元を覗き込むと、そこには数字の羅列が記されていた。

そして最後に…署名がしてある。

「我ら」と。

「…これだ! ファイツ、あれを」

ファイツが背中に背負った荷物の中から「あれ」を取り出す。

「あれ」とはもちろん、バリバウスの筆跡の見本である。

テフィオはしばらくそれを照らし合わせ、明確な筆跡の類似点を発見した。

「間違いない…我らとしか書いていなくても、これほど筆跡がはっきりしていれば明確な証拠になる。それにこの数字は、人身売買の金の流れを記したものに違いない」

「やったね!」

あとは囚われの人々を助け出すだけ―

そう三人が喜んだ時だった。
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