絆物語~クールな教師(アイツ)と狼少女の恋~
突然鉄の扉がバン!と勢いよく開け放たれ、ぱあっといくつもの明るい光が三人を照らし出した。

そしてぞろぞろと駆け込んでくる、人の気配。

彼らの持つ気剣の光が闇を払う。

その数―10人は下らない。

「!!」

咄嗟に身を隠すこともままならず、三人は呆然と立ち尽くす。

最後にひときわ明るいランプを手に悠然と室内に足を踏み入れた人物を見た時、三人は歯ぎしりしたくなった。

頭頂部だけ剃髪した頭、威圧的に張った胸。

―バリバウスだ。

「子ネズミどもがうろちょろと嗅ぎまわっていることに、私が気づかないとでも思ったのか」

その声音はぞっとするほど冷たかった。

どうやらすべて罠だったらしい。自分たちを陰で抹殺するための。

つまり今みつけた証拠品も、偽物である可能性が高い…。

やられた、と思ったが、シルフィは開き直り、声を張り上げた。

「リコリウスくんを売り払うなんて、絶対にさせない。家族の絆(プティ)を壊すような真似、私は絶対に許さない!」

「フン、リコか。あんな“気”の弱いクズなどいらんわ。売り払って何が悪い?」

「お前…っ!!」

そこでなぜかテフィオが抑えきれない怒りを含んだような声をあげた。

「目障りな子ネズミは、餌で釣って消してしまえばよい。消えろ」

「それはどうかな」

決然と言い返したのは、シルフィではなく、テフィオだった。

シルフィは驚いてテフィオをみつめる。

「俺は消されたりしない。そして俺とこのシルフィが、お前を校長の座から引きずり下ろす!」

どういう風の吹き回しか。彼の真意をはかりかね、シルフィはテフィオをみつめることしかできない。

「一介の教師に何ができる? 青二才が私の尻尾をつかもうなど、百年早いわ。
―――殺せ」

バリバウスの命に、配下の者達が一斉に動いた。

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