水曜日の彼女
「加藤さんのことが好きなら、素直に【好き】って言えば良いだけの話だろ?
自分が好きになった相手が、自分の事を同じように好きになってくれるって、凄いことだと思わないか?
それにそんなデコピンの痛みなんて、加藤さんの心の痛みに比べたら、大したことないだろ?」
そう言って遼が小さく折りたたんだメモを、俺の手に握らせる。
「これ加藤さんちの住所。
ここから近いから、3日以内に行け。
じゃないと、加藤さん…取られるぞ。」
「・・・・・。」
何も言わない俺を見ると、更に遼が話を続けた。
「お前が加藤さんを切ったあの日。
俺、本当は【もう朝陽には会うな】って言いに行ったんだ。」
そう言う遼の顔が切なげに歪む。