水曜日の彼女
「あの……森山くん……!?」
沈黙に耐えられなくなり、私が話しかけると…森山くんは気まずそうに話し始めた。
「俺…今まで人を好きになった事がないんだ。
それは……えっと……。」
こんなタジタジの森山くん…初めて見た。
私はスッと立ち上がり、森山くんの隣に腰を下ろすと、彼の手をギュッと握りしめた。
「言いたくない事は、無理して言わなくていいよ。
私はまた…こうして森山くんと話せてるだけで嬉しいから…。」
そう言ったところで、トントンとドアをノックする音が聞こえた。
はい……と返事をする前に、ドアの隙間からお母さんが顔を出し、森山くんと手を繋いで隣同士で座る私たちを見て、ニヤリと笑ったのが分かった。