水曜日の彼女
「それで…身体を繋げる事で、森山くんの心の穴は塞がった?」
「・・・・・。」
森山くんは、何も言葉を発しないまま、隣に座る私を抱き寄せた。
「玲菜……。
俺、お前に会うまでは、毎日をただやり過ごすだけだった。
何が不満だったのかも分からない。
父さんも母さんも弟達も大好きだし、学校に行けば遼も居る。
でも…最後は自分から実の母を捨てたのに…あの時のアイツの顔が脳裏にチラついて、心にポッカリ開いた穴は埋まらなくて、何が自分に足りないのかも分からない。
自分から何か進めようと努力もしてないくせに、何もかも諦めてしまってた。
でも玲菜…お前は違ったんだ。
真っ直ぐな心で、俺の気持ちにグイグイ入り込んできた。
無理だって周りから言われ続けてたのに、勉強だって頑張った。」
そう言うと、私を抱きしめる腕にさらに力を込める。