水曜日の彼女


玲菜は……大丈夫。


きっと信じて大丈夫。




そう…自分に言い聞かせた。




昔…亜紀から置いて行かれた時に味わった…胸にポッカリと穴があいたような想い。

亜紀のアパートから追い出された時の空っぽの心。



どんなに満たされた生活を送っていても、忘れかけていても、フッとした拍子に突然やってくる。



その空っぽを思い出し、居ても立っても居られなくなるんだ。




大事にしたら…また…

自分の元から去って行くんじゃないか…。




4歳の時からずっと、俺に取り憑いて離れない。




そんな俺の心内を、まるで分かって居るように…玲菜は俺の背中をポンポンと優しく叩いてくれた。


そして…繰り返し繰り返し




「大丈夫…。ずっと傍に居るから。

朝陽の傍に居るから…。」




そう言い続けてくれたんだ…。



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