水曜日の彼女
「朝陽…いつになく必死だな…。」
その声に振り向くと、ニヤニヤしながらコートの中を見つめる木村遼くん。
「朝陽…スポーツも万能なんですね…。」
と木村くんに言葉を返すと、
「いつもだったら、サラッとやり過ごして終わるんだけど、今回はどうしても千葉くんに負けたくないらしいよ。
ねぇ~加藤さん…何でだろうね~」
そう面白そうに私の顔を見つめた。
きっと……木村くんは、凛人が私に告白したことを知っているんだ。
「ほらっっ木村くん!もう少しで試合終わっちゃいますよ。
応援しなきゃ!」
でも……うっわぁ~~
もう…どっちを応援したらいいのか分からなくなってきた。
あと残り30秒を切った。
このまま行けば、うちのクラスの優勝。
凛人たちはパスを回しながら、残りの時間をやり過ごそうとしている。