水曜日の彼女


そして…土曜日。


その日は【土砂降り】という言葉がピッタリの大雨だった。



瞳さんが私の家まで車で迎えに来てくれて、私が乗り込むと、そのまま車を発進させる。



何処に行くのだろう…。

一緒に出掛けたい所がある…と言われただけで、何処に行くのか、何をするのかは聞いていない。



私がそんな事を考えていると、その表情を読み取ったのか…瞳さんが申し訳なさそうに口を開いた。




「ゴメンね…。玲菜ちゃん。

何も言わないまま連れ出しちゃって…。」




きっと…とても言い出しにくい事だったのだろう…。


もしかしたら…この1ヶ月程、元気が無かったことと関係あるのだろうか?




「私は平気ですよ。

でも…瞳さんが最近…元気がないのは気になっていました。」




私のこの言葉に瞳さんが目を見開く。



すると…いつもハキハキと物事を言う瞳さんが、自信がない宿題の答えでも発表するかのように、ボソボソと話しだした。



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