水曜日の彼女
~~瞳side~~
初めは亜紀の事が許せなかった。
不倫をした上に、子どもに暴力を振るうなんて…有り得ないことだと思っていたから。
だから…幼い二人から、その原因である母親を引き離してしまえば、全てが上手くいくと思っていた。
温かい愛情で二人を包んでいけば…本当の笑顔が戻ると信じていた。
だって…母親から殴られていた時の記憶を失うほど…朝陽の心はその記憶を拒否していると考えていたから…。
今度は私と朝陽の父親で、沢山の愛情を注いでいけば、辛かった記憶はなくなると思ったの。
でも…私が取った行動は、結果的に朝陽と博斗の心にポッカリと穴をあけてしまった。
だから……小学校に上がる前に、二人を亜紀に会わせたいと思ったんだ。
そして…二人に会えることを亜紀も望んでいたから…。