水曜日の彼女


お見合い結婚した相手…朝陽と博斗の父である健一は、とても優しい人。


でも…正直…圭佑に対するような、心の奥底から湧き出るような【好き】とか【愛してる】という感情を持てる訳ではなかった。




それでも【幼少の頃からの父の絶対権力】に逆らえるわけもなく、


せいぜい【良い妻】を演じるしかなかった。




朝陽と博斗を授かると、本当に2人が愛しくて…可愛くて…そして健一に対しては…穏やかな家族愛が芽生え始めていた。



それでもたまに…圭佑の時に抱いていた、あの時の感情と比べては、苦しくて人知れず涙を零すこともあった。




そんな時、健一の昇格が決まり、それと同時に出張が多くなる。

殆ど家に帰って来ない夫。

帰ってきても深夜近く。



でも…ちゃんと家族を愛してくれていることは伝わっていたんだ。



でも………




「ねぇ~ママ!お腹すいた~」


「ママ~博斗がお茶こぼしたっっ」


「ママ~どこか遊びに行きたい!」


「ママ眠いよ…」


「これ嫌い…食べない!」


「ねぇママ……」


「ママ……」


「ママ…ママ…ママ…」



ママ…ママ…ママ……



愛しい……と思う一方で…どんどん溜まっていくストレス…。



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