水曜日の彼女


圭佑が家に頻繁に来るようになると、朝陽の警戒心はますます酷くなるばかりで、私にくっ付いては全く離れない。



そんな様子を見て…圭佑は


「こんな時間まで起きてるなんて、お前は悪い子だな。

こっち来いよ。

悪い子には、お仕置きが必要だ!」



そう言って…私の目の前で朝陽の足を蹴った。

何度も何度も……。



【躾】



その様子を見ていて【躾】という言葉が頭を過ぎる。



こうやって自分も父に躾けられてきたから、この位は当たり前だ。



きっとこの時は…私の考えも麻痺してしまっていたのだろう…。



泣きながらゴメンナサイと言い続ける朝陽を、虚ろな目で見ながら、私は結局何も出来ないで居た。




【圭佑を失うのが恐い……】




この日……圭佑を失わないように…そんな事しか考えられなくて


圭佑と別れて初めて…身体を重ねてしまったのだ…。






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