水曜日の彼女


「俺たちを捨てた理由も…余命わずかなことも…。

母さんと、玲菜さんが話そうとして、兄ちゃんが拒否して聞かなかった事も全部聞いた。



俺は…亜紀さんが余命僅かだからとか、母さんや玲菜さんが言ったから…とか、そんな理由で兄ちゃんを連れ戻しに来たわけじゃないよ。

ただ…真実を伝えたかったから来たんだ。

だって…当事者の俺達2人には、知る権利があると思うから。

その後…会うとか会わないとか、憎むとか許すとかは、朝陽の自由だ。」



そう言って、俺と似た顔で博斗はニカッと笑った。



「俺の話も聞けない?」


「・・・・・・・。」


「大好きな弟の話なのに?いつから朝陽は薄情者になったの?」


「………………朝陽って呼ぶなよ…。」


「じゃあ俺の話聞くの?」


「………………分かったよ。」


「さすが兄ちゃん!!」




俺って博斗と奏汰にはめっきり弱いな……。




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