水曜日の彼女
「亜紀さんも小さいころ、【躾】と称して父親から叩いたりされていたらしいよ…。」
そう切り出して、博斗は1つずつ…ゆっくり話し出した。
博斗から聞かされた亜紀の話は、不思議と落ち着いて聞くことが出来た。
俺と博斗が同じ境遇だったから?
それは…分からないけど…、俺に遠慮することも、気遣う事もない話し方に、心は拒絶することもなく、俺の中にすんなり入りこんできた。
小さいころは厳しい【躾】の元に育ったことから、元カレと浮気をした挙句、その元カレの俺たちへの暴力により、離婚を余儀なくされたこと。
「やっぱり…最悪な奴だな……。」
ここまで話しを聞くと、自然とこの言葉が零れ落ちていた。
「そうだね…でもね…これ見て。」
そう言って博斗が持っていたバッグから取り出したもの…それは…ミニカーだった。