水曜日の彼女


「兄ちゃんが捨てたのは、全部母さんが拾って、大切に仕舞ってくれていたよ。

それにね…兄ちゃんが亜紀さんのアパートを出た後も、毎月1つずつ買い続けていたみたい。

あのアパートからも、シェルターからもミニカーが出てきたんだって。母さんが教えてくれた。」



一体ミニカーだけで何百個あるんだよ…。


それに…もうこの歳になってまで…ミニカーで遊ぶかよ…。



「いらねーよ。もうミニカーなんて…。」



俺がそう言うと、博斗が呆れたように言う。



「朝陽バカなの?俺が言いたいことは、そんな事じゃない!」



は?俺…博斗にバカって言われた?

しかも何気にまた【朝陽】って呼び捨てにされてないか?



「亜紀さんは、本当に俺たちの事を大切に想ってくれていたんだと思うよ。」



それからまた博斗は話し出した。


15歳の時、本当に俺と住むことを楽しみにしていたことや、相変わらずの元カレからの暴力と、借金のことなど。

そして精神的に追い詰められていたことなど。


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