水曜日の彼女
「・・・・・・・・。」
「でも兄ちゃんは違うよね?
俺より大きかったんだから、色んな思い出があったはず…記憶にあるはず…。
それが思い出せないのが…【心の穴】に関係するんだよ。
兄ちゃんの心の穴は、間違いなく亜紀さんだと思う…。
心の穴を見て見ぬフリをするか、大人になって上手く蓋をするか、向き合ってみるか…兄ちゃん次第だよ。
でも【向き合う】ということは…【向き合う】という選択肢だけは……時間がないんだよ。
後で後悔しても、どうすることも出来ない。」
「何度も傷ついた…裏切られた…。
また傷つくだけかもしれないんだ……。
正直……こわい…。」
俺は弱々しく呟いた…。
すると、博斗が俺の両手をギュッと握ってニカッと笑った。
「もしまた傷つくことになったら、
俺たち家族が今まで通り、無償の愛を提供するよ♡
亜紀さんと一度で良いから会おう?
どんな親でも俺たちの親なんだ。
色んな思いが絡み合う……それは分かる。
だけどここは、腹くくって亜紀さんに会おう!
……最初で最後の【親孝行】だと思って!」