水曜日の彼女
**最初で最後の親孝行**
~~朝陽side~~
【最初で最後の親孝行】
博斗のこの言葉に俺の心が渦巻く…。
「兄ちゃん…俺は明日病院に行くよ。
亜紀さんに会う。」
呆然とする俺を見続けて、また博斗が口を開く。
「亜紀さんに残された時間は、あと僅かなんだ。
きっと声が聞けるのは、もっと短い時間だと思う…。
だから声が聞けるうちに…話が出来るうちに…俺は会うよ。
考えて、迷って、悩んで…そういう心の準備の時間も必要だと思う…。
だけど決心した時、話が一方通行になってしまっては遅いんだ。
……俺…後悔だけはしたくない……。」
「・・・・・・・。」
博斗の切なそうな表情を見ると…ますます言葉が出てこない。