水曜日の彼女
「はぁっっ??
かたや博斗は現実を受け止めて、どうしたら皆が笑顔になれるか…そこまで必死に前向いてるってぇのに…。」
そこまで言うと、遼が座っている俺の肩に両手を乗せて、いつもよりも少し低い声で真正面から言った。
「お前の事、誰か傷つけようとしてるか?
それよりも…お前の心の穴を埋めようと、心に向き合う最後のチャンスを無駄にして欲しくないって見守ってる家族や加藤さんの心を、お前が傷つけてるんじゃないのか?」
俺が…家族や玲菜の心を傷つけてる……?
「それとも何だ?
お前は、一番近い人たちからも、腫れ物に触るような扱いを受けたいのか?
『きっと朝陽にこの事を言ったら傷つく…』
『この話はタブーだ』
なんて…ずっと気を遣われながら過ごしていきたいわけ?
違うだろ?
一番近い人たちだから、何でも話して、
楽しいこと
嬉しいこと
悲しいこと
辛いこと
みんなで気持ちを共有したいんじゃないのか?
少なくとも俺はそう思ってる。
朝陽が辛いときは傍に寄り添おう…って。
だから…間違ってるときは【間違ってる】って遠慮なく言うよ。」