水曜日の彼女


~~玲菜side~~



今日は土曜日なので、大学が休みだった。


午前中、瞳さんの事務所により、少しだけ溜まっていた書類の整理をして、木村くんのアパートに向かう。


事務所の最寄り駅から電車に乗り込み、ドアの近くに立った。


そして…窓から流れる景色をただ眺めていた。




【俺の心に勝手に入ってくんな…。】




その時の朝陽の低い声…。


冷淡な表情の中に、見え隠れする切ない顔…。





その表情を思い出しては…




【玲菜】




と呼ぶ優しい声を思い出し…



涙が滲んでは…零れ落ちそうになる…。



そっと瞳を閉じ、朝陽の笑顔を思い浮かべた。







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