水曜日の彼女


「亜紀さん…顔を上げて、こっちを見て。」



博斗がそう言うと、



「二人に…合せる顔がないの…。

朝陽と博斗の顔を良く見たいけど…そうすると…嫌でも、お互いの視界に入る…。

二人とも…自分を捨てた母親の顔なんて見たくないでしょ?」



すると…博斗が呆れたような声で話し出す。



「……馬鹿だな…亜紀さん。

確かに亜紀さんが居なくなったことに、俺も兄ちゃんも凄く傷ついたと思う。

兄ちゃんなんて2回も亜紀さんに裏切られてるんだから、つい最近まで本当に捻くれてたよ。

だから…確かに【会いたくない】【顔も見たくない】【声も聞きたくない】って思ってると思う。

でもね…人それぞれ、大小違うけど…間違いを犯すことはあるんだ。

俺だって小さいことだとしても、何度も間違えて、その度に家族や友達に怒られて、【ゴメンね】って謝ってきたんだ。」



そして…穏やかな声で話しを続けた。


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